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石塔 [中世]

市内樋春の旧観音寺の住職墓地に建てられている石塔を紹介します。
この石塔は、中近世の石造物の部材を集めて組まれたものです。
上から、五輪塔の空風輪、茶臼の上石、石仏の台座・基部で構成されます。
おそらく、近年になって散乱していた部材を集めて塔にしたものと推測され、こうした事例は珍しくはありませんが、茶臼が混じることは稀です。
この茶臼は、安山岩製で、茶臼を回すための挽手の棒を差し込む台座の文様は二重の菱形です。時期的には16世紀頃のものと思われます。ちょうど中央に芯木を通す穴が開いており、五輪塔の空風輪の基部が入れられています。
茶臼は、抹茶をつくる際に必要不可欠となるのもので、利休により茶道が大成される以前の茶は、主に顕密寺院、禅宗寺院で栽培され、献茶や修行の一環として飲まれていました。旧観音寺の詳細は不明ですが、16世紀にこの寺院でも抹茶が飲まれていたことを示す資料です。
ちなみに、一休の『骸骨』に
「なきあとの かたみに石が なるならば 五りんのだいに ちゃうすきれかし」
という歌が、骸骨が、茶臼を石塔に組んだ前で踊るイラストとともに書かれています。
「権力に追随し、茶磨を切らせることができるような身分に安住して修業を怠って いる高僧たちに対する鋭い批判」の歌と言われています(粉の文化史―石臼からハイテクノロジーまで:新潮選書:1987:三輪 茂雄 )
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