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小正月の飾り物―ケズリ花 [その他]

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昭和時代も遠くなりつつあるのか、筆者もどっぷり昭和の育ちなので、かつて当たり前に見た風景や行事も記憶のかなたの存在になっています。そんな昨今、久しく見ていなかった小正月の作り物に出会いましたのでご紹介します。
 小正月は、かつての日本では重要な期日にあたり農作業をはじめ様々な行事が行われました。生業にかかわる安心や安全を祈り、作物の豊穣を期待する予祝的な行事が主なものです。
 写真は、県央の古民家に飾られた「ケズリ花」と呼ぶ白木の肌を細かく削り、削り起こし部分を房状にしつらえたものです。小正月に養蚕の成功を期するため繭玉などともに飾られたものです。民家の周囲に自生する接骨木(ニワトコ)やオッカドなど白い肌のケズリやすい真っすぐな幹を持つ木が使われました。北海道を含め日本全国で作られていました。関東地方では、養蚕が盛んだった埼玉や群馬ではどこの農家でも飾られていたものです。起源は不詳ですが、明治時代の初めには地域の歴史に早くから目を向けていた好古家の人々にも注目されていました。
 旧江南町冑山の好古家として著名な根岸武香もその一人で、明治20年(1987)に「東京人類学会報告15」に坪井正五郎の「削り掛けの種類及び沿革」を受ける形で「正月十五日武蔵国四郡にて歳神に奉る種々の物」として挿図入りで報告しています(図)。第九図(十六花)が16段のケズリ花で、写真のケズリ花は16段と同じです。16段とする意味はカイコの足の数に倣うといわれていました。
 地域の生活史にも目を向けていた好古家の仕事を再発見した日でした。
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