SSブログ

寺内廃寺の遺物整理から―1 花を飾る器 [整理作業]

 寺内廃寺にかかわる出土遺物整理の状況のその後をいくつか取り上げます。
今回初めて紹介する報告もありますので、ぜひご覧ください。
image001.jpg   image003.jpg
寺内廃寺出土の多嘴瓶   奈良二彩の多嘴瓶
東京国立博物館蔵

「多口瓶」又は「多嘴瓶」とも呼ぶ壺形陶器は、一個の長頸壺の肩に複数個の口頸部を取り付けたもので、その数は4~5個の例が多く、花を生ける花器で、寺に特有の器具とされ、窯跡などの生産跡以外では仏堂跡から発見されます。
 官大寺と呼ばれる国家直轄の寺院では、緑釉陶器や三彩陶器で作られた高価な花器も出土していますが、地方の寺院では美濃で作られた灰釉陶器や地元産の須恵器などが多く使われたようです。
 寺内廃寺金堂から出土した多嘴瓶は灰釉陶器が使用されており、細片から復元すると図や写真のような姿となります。現在でも仏前に花を供えますが、寺内廃寺の場合、仏像の破片から推定される如来と観音に手向けられたと想定しています。
 参考に、奈良市「薬師寺」は奈良二彩、宇治市大鳳寺跡は灰釉陶器、日高市高岡廃寺は須恵器の多嘴瓶の出土が知られます。
nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。