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『続膝栗毛』 [紀行]

江戸時代後期の戯作者十返舎一九(1765-1831)の『続膝栗毛』に、弥次さん喜多さんが熊谷宿を訪れた際の様子が記されているので紹介します。『続膝栗毛』は、『東海道膝栗毛』の続編で、弥次さん喜多さんが、金毘羅、宮島の参詣を終え、木曽街道を経て江戸に帰ってくる旅行記です。


此うち高柳、石はらをうちすぎて、くまがへのしゅくにいたる。
弥「ナントここに評判のそばやがあるといふことだ。いつぱいくつていかうか。」
北「ヲヲその梅本よ。ハハアここが布施田だな、これも評判のいいやどだ。ヤアそばやはこれだこれだ。(ト、打つれてかの梅本へはいり)」
弥「モシぶつかけをあつくして二ぜんたのみやす。」
そば屋「ハイハイかしこまりました(ト、さつそく二ぜんもつてきたると、)
北「なるほどいい蕎麦だ。そしてめつさうにもりがいい。したぢのあんばいも申分なしだ。
弥「コリャ一首やらずばなるめへ。熊谷の 宿に名だかき ゆえにこそ よくもうちたり あつもりの蕎麦」

下の写真は、十返舎一九の『続膝栗毛』12編上(国立国会図書館デジタルコレクション)に掲載されている熊谷宿の鳥観図です。そこに忍岡常丸の和歌が記されています。
「うららかに 春はさむさも うすすみに 霞いろとる くまかへの宿」
続膝栗毛.jpg

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