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新潟の旅-熊谷の名工の足跡を辿る- No.3 都野神社 [熊谷の名工]

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 新潟県長岡市与板町に所在する都野神社は、与板の総鎮守として古くから信仰されている神社です。直江兼続が与板城を築いた際、九州の宇佐八幡宮の分霊を勧請したことから、八幡宮とも称されています。
 天保7年(1836)の大火により社殿が焼失し、8代藩主井伊直経がその再建にあたりました。寄進者には大阪屋などの有力商人の名が連なります。
 現存する社殿は再建当時のもので、天保11年(1840)に本殿、嘉永元年(1848)に拝殿がそれぞれ造営されました。これら社殿の彫刻を一身に負い手掛けたのが小林源太郎です。都野神社には、天保10年(1839)に書かれた源太郎直筆の「八幡宮御本社彫物使用」、いわゆる今でいう見積書が残っており、当時の貴重な史料として大切に保管されています。
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 本殿は、保護のため鉄骨の覆屋に覆われ、拝殿から本殿にかけての道は石囲いが設置されており、中に入ることはできません。彫刻の様子は、その左右から遠目で確認することができます。本殿は、三間社流造、正面千鳥破風付で、正面に唐破風の向拝を設けます。向拝兎の毛通しには鳳凰、虹梁上には子引きの龍、木鼻には獅子の彫刻が施されています。大羽目彫刻はなく、一見シンプルな造りですが、脇障子や軒下部分、高欄下部には精緻な彫刻が施されています。
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本殿正面唐破風向拝廻りの彫刻
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軒下の彫刻と組み物

 また、拝殿は入母屋造りの銅板葺きで、本殿と同様、正面千鳥破風付、正面に唐破風の向拝を設けます。正面虹梁の上には、波に子引きの亀、左右の柱上部には獅子と獏の木鼻彫刻が施されています。
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波に子引きの亀
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獅子と獏の木鼻彫刻

 都野神社社殿は、江戸時代後期の社殿建築の遺構で彫刻などの意匠が優れていることから昭和47年(1972)に長岡市の文化財に指定されています。


参考文献
・木原尚2010 『新装版 越後の名匠 石川雲蝶 足跡と作品を訪ねて』


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